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庭園・原生地
原生地
2009年○月○日  第10回 ○○セミナー
<<2012年 クロアチア・モンテネグロ 原生地を訪ねる旅>>

  今年で第6回を迎える、日本クリスマスローズ協会主催、ヨーロッパ原生地を訪ねる旅。
2年に一度開催され、今年は「クロアチア・モンテネグロ」でトルカータスやムルティフィダスを視察するという魅力的な内容だった。

1998年に設立された「日本クリスマスローズ協会」は、私の父である故野口 一也がヘレボルスに魅せられ、日本中にこの花の素晴らしさを広めたいという熱い想いから始まった会である。

当時私は、世界中を飛び回る仕事をしており、傍らにいながらも、父のヘレボルスへの満ち溢れる情熱や熱弁にもさして耳を傾けることなく、何となく横目で父の奮闘ぶりを見ているに過ぎなかった。
しかし、2年前の第5回海外視察ギリシャ・トルコへの旅行目前にし、父が突然病に倒れ、無念にも旅行に参加することが出来なくなってしまった。それ以降、まさに晴天の霹靂とでも言うのだろう、フライトアテンダントから転身し、花郷園という父の事業を継ぐこととなる。
そして、父がこの視察旅行へどれだけの深い思い入れがあったか、父亡き後に書類を整理する度に目の当たりにするのだった。

海外の著名研究者へのコンタクトを幾度となり取り、絶好のタイミングで花を見るための計らい、入念な下調べ、旅行企画のJTBさん任せではない独自のレストラン検索、等々、そこには会員の皆様をエンターテインするための熱き思いが詰まっているようだった。父が本業と同じく、またはそれは以上にエネルギーを注いでいたこの研修旅行に、私自身もまた大変興味を抱き、次回は是非とも参加したいと願い至ったのが今回の旅行なのである。

原生地でのヘレボルスの自生姿を外すことなく見ることが出来るという、この視察旅行の売り。クロアチアから南下し、最終視察地モンテネグロまでバスにて移動。車窓からは、当然関東ローム層ではなく、石灰岩のカルスト台地、白亜の景色がどこまでも広がり続けるのだ。

(石灰岩のカルスト台地)

その間、お目当てのトルカータス、ムルティフィダス・ムルティフィダス、オドルス等、絶好のタイミングで見ることが出来た。かつ、天候にはこの上なく恵まれ、移動中の悪天候も肝心な所ではミラクルのように回復し、最高のコンディションで巡ることが出来たのは本当にラッキーなことだった。

トルカータス・モンテネグロタイプは、2ユーロコインと比較の対象になっているのだが、
トルカータス・ボスニアタイプと比べ大輪であるのが特徴である。

(H.トルカータス・モンテネグロタイプ)


ムルティフィダス・ヘルツェゴヴィヌスは開花期にあたり、特徴的な鋭く激しい切れ込みのある葉を見ることはなかったが、側に古葉が枯れた状態である様子は見てとれるだろう。

(H.ムルティフィダス・ヘルツェゴヴィヌス)


オドルスは強健種らしく、原生地でも生育旺盛に、青々と喜々として生息していた姿が印象的だった。白ワインのソービニィ二ョンブラン種のようなやや青臭い芳香種が一般的と思っていたのだが、実際のところ、香りのないものが多く存在しているようだった。

(H.オドルス)

交配種と異なり、原種は必ず同じ表情を現すと理解されている。原則は当然そうなのだが、
オドルスのサイトでも、オドルスらしからぬ、ピコティーの入るトルカータスとの交雑種らしき
個体も見ることがあった。

(ピコティの入ったH.オドルスの交雑種)

今回視察地へのご同行を頂いた、世界的に権威のあるヘレボルス研究者、Matthias Thomsen氏に伺えば、15k先にはトルカータスのサイトが広がり、風媒によっても自然交配がなされ、このような種が生まれてくるのだという。そのような個体が群を成し、他の種と細分化される特徴が見出され、研究が進むとまた新たな種の発見・誕生となるのだろうか。

自然界のこととはいえ、このように原生地に咲く花をタイミング良く見ることが出来たのは、幾度となく足を運ばれ土地に精通していらっしゃる横山理事のご案内、そしてヘレボルスのドイツ人研究者、Matthias Thomsenさんによる事前調査のもと遂行されたからなのである。

Matthias Thomsen氏は18年間ヘレボルスの研究をフィールドワークにされ、リグリクスやアブルジクスを発見された方でもある。そんな偉大な方にご同行頂き、アットホームな雰囲気の中、視察を出来るのは日本クリスマスローズ協会ならではないだろうか。更に氏から急遽滞在ホテルで特別講演会をして頂くという驚きの企画もあり、大変充実した内容だった。

(Matthias Thomsen氏による特別講演会)

この旅行の素晴らしき点は、たっぷりと原生地を巡りながらも、世界遺産を訪れたり、見どころの観光名所を組み込みつつ、女性には欠かせないショッピングの機会もあるという縦横無尽に網羅されたコース内容であることだろう。

そして、旅先では土地のお料理を頂く楽しみも大いにある。三度のお食事も全て付いていたのだが、どのお料理も一度としてハズレることなく、郷土料理を存分に味わうことが出来た。下の写真は山小屋風レストランで頂いた野菜スープなのだが、滋味深く、大変美味しかった。また給仕の方も目鼻立ちの整った美人女性。クロアチアは、世界三大美人のひとつと小耳に挟んでから、旅行中ずっと探し続けていたのだが、ついにその美女と遭遇出来た場面でもある。

(クロアチア美人による野菜スープのサービス)

旅の大切な要素、Good weather ・Good food・Good company。この度の旅行では三拍子が揃いに揃う形となった。
 旅はその仲間によって左右されるが、参加者は16名の素敵でパワフルな方々ばかりで、終始バスの中でも笑い声が絶えない。花を愛する方は、植物から良いエネルギーをもらうのだろう。ご年配の方々も、この上なくお元気で、健啖家な方も多く、自分自身もいつまでもそう若くあり続けたいと思うほどだった。

 そして、JTBガイドの竜田様、現地ガイドの千夏さんのお仕事ぶりは、女性の木目細やかさと誠心誠意に溢れ、脱帽ものだった。お陰で私どもは常にスムーズで気持ち良い旅行を遂行することが出来、お二人に心から感謝すると共に、またの機会にも是非ご同行願いたいと思っている。

2年後の旅行もまた着々と計画が練られているようである。次回もまた、万事繰り合わせ、原生地に咲く逞しきヘレボルス達に逢いに行きたいと切に願うのであった。

(原生地に咲く逞しいヘレボルス達)

 野口 貴子
2009年○月○日  第11回 ○○セミナー

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