本文へスキップ
栽培方法
基本的な栽培方法
2009年○月○日  第10回 ○○セミナー
クリスマスローズは、クレマチス、雪割草、秋明菊、アネモネ、福寿草などと同じキンポウゲ科の植物でヘレボルス属約20種の原種があります。
本来のクリスマスローズはヘレボルス・ニゲルを意味しますが、日本ではヘレボルス属20種もクリスマスローズと呼びます。欧米では、ヘレボルスが一般的な名前です。

1.クリスマスローズの特性
冬の草花として最近人気が高まった理由として、
@ 弱い日光を好むので、建物の北側や狭い場所でもよく育つ。
A 冬の寒い時期に咲く。
B 花色が豊富で、花の濃淡やスポット、花型などの変化もあり、それぞれに個性がある。
C 丈夫で育てやすい。
などが挙げられます。
種苗会社のカタログや園芸雑誌でも、冬の定番商品となりました。庭に植えればよく育ち、年々開花数が増加するクリスマスローズは植物が育つ喜びを感じさせてくれる花でもあります。外国産の珍しい植物が紹介され、話題を呼んでも3〜4年後になくなってしまう例が多いなかで、クリスマスローズの人気は着実に広がっています。
結局、消費者が満足する植物が定着し、広がっていくのではないでしょうか。

2.クリスマスローズを育てるには
植物を上手に育てるには、植物の生まれ故郷の自然環境と、日本の自然条件の相違点を知ることが必要です。
クリスマスローズの自生地は、欧州、西アジア、中国(一種)ですが、とりわけ東ヨーロッパからバルカン半島にかけて多くの種類が自生します。オーストリアと接するスロベニアは北緯45度で北海道と樺太の中間に位置します。
バルカン半島の都市ベオグラード(セルビア=モンテネグロ)と東京の月別平均気温と降水量は次の通りです。

グラフ1


グラフ2

気温では夏の温度差が目立ちます。東京の7月、8月、9月上中旬までの気温が原生地にはありません。
降水量も6月から9月の多くの雨が降る日本にくらべて、欧州では年間を通して降水量は約1/2です。
日本の夏の暑さと多湿が苦手な性質は、欧州原産の植物に共通します。クリスマスローズの原産地には、シクラメン、プリムラ・ブルガリス、カタクリ、スノードロップ、雪割草、ラミューム、プルモナリア、デージーなどの草花の原種もみられます。

3.クリスマスローズの生育サイクルと栽培管理
<<生育サイクル>>
秋になると、根の活動が活発になり、新葉が展開します。10月以降は充分な日光を与えて、株にスタミナをつけます。株分け、植え替え、そして元肥を充分に施す適期です。夏に分化した花芽は肥大して蕾となり、低温に遭うことで、開花に至ります。9月から10月にかけて高冷地で早くから低温期を過ごさせると12月から1月にかけて開花します。
11月から1月にかけて種子が発芽します。自然開花は、早春2月から3月にかけてです。冬から春にかけて咲くクリスマスローズは寒い季節の代表的な花です。
5月には種子が成熟します。キンポーゲ科の植物の種子は、湿気のある状態で20℃以上の高温期と5〜10℃の低温期をそれぞれ約50日経過すると発芽する特性があります。
7月〜8月の高温期は半休眠となります。直射日光を避け、なるべく涼しい環境(特に夜温の低下)におきます。この時期に大きな葉が展開している株は花芽が分化します。

表1
ヘレボルス属の生育サイクルと年間の栽培スケジュール(鉢栽培)
10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
花の生長 つぼみがふくらむ 花芽分化
開花期(2月、3月中心)
葉の生長 半休眠
葉の生長期 半休眠
タネの扱い とりまき
結実 タネの貯蔵
タネまき 播種 発芽 直蒔き
鉢上げ
(直径9pのポット)
株の扱い 植えつけ、植えかえ、株分け(10月中心)
古葉とり
マルチング 遮光
水やり 表面が乾いたらたっぷりと与える(夏場は夕方、冬場は午前中に)
根腐れに注意
肥料 元肥 元肥
液肥や置き肥で適宜、追肥

<鉢>
根が深く伸びるため、腰高の鉢を使います。苗の育成用には、ロングタイプで底部側面に穴のあるタイプのポリポットで、初め、7.5〜9cm、大きくなるにつけ、12cm、13.5cmのサイズを使います。多くの種類があるときは黒、シルバー、赤、黄、茶、青、桃などの色別ポットも使えます。
仕上げ鉢には、観賞用のテラコッタもありますが、多く使われるのはプラ鉢です。排水性の良いスリット鉢は鉢底にゴロ土を入れる必要がありません。普通の大鉢では、鉢底に砕いた発泡スチロールを入れたり、小さな鉢を入れたりして空間を作り排水性を高めます。

<<栽培管理>>
・庭植えの場合
排水が悪く、水が溜まるような場所を避ければ、どこでもよく育ちます。シラカバ、モミジ、アメリカ花水木などの株立ちにならない落葉樹の株元は夏の光線を避け、冬の陽光にあたるので、望ましい場所です。
強い根が土中深く入るので、少なくとも30cm以上耕します。排水の良い場所で、下向きの花であることから、傾斜地が理想的です。

・鉢植えの場合
<用土>
鉢植えでは限られた容積の中で育てるため、条件の良い土を使います。腐植分が多く排水の良い用土を調合して作ります。

−鉢植え用土の配合例−
  • 赤玉土(硬質中粒) 2
  • 鹿沼土(硬質) 2
  • 軽石 2
  • 腐葉土 3(市販の腐葉土は未熟の場合があるので、夏を越して使用)
  • クン炭 1(土をぼう軟にし、酸度を長期に中和する)
  • ゼオライト(珪酸塩はく土) 少量(根腐れ防止剤)
市販の草花の培養土に排水性を高めるための硬質鹿沼土や軽石、硬質赤玉土(中粒)を30〜40%加えるのも良いでしょう。ハイブリッド系以外の原種系はより排水性の良い用土が必要です。


<植え替え(鉢替え)>
クリスマスローズは、根の伸びが早く、根詰まりしがちです。根詰まりした株は、水も肥料も受け付けず、生育が止まり老化しやすくなります。鉢底に根がでたら、2まわり位大きな鉢に植え替えます。
同じ鉢で続けて育てたいときは、鉢を抜いて根をほぐし、1/3位の用土を取替えます。市販の開花株は根が充分に廻っている場合が多いので、購入したときはなるべく大きな鉢にゆるめると、株に力がつき、夏越しも容易になります。

<株分け>
多年草のクリスマスローズは6〜7年経つと、生育が衰えてくることがあります。
庭植えの場合、弱った株は掘り上げて株分けすると樹勢が回復します。
9月から10月頃、消毒したマイナスドライバーで2〜3芽ずつ分けます。
植え付ける場所は同じ所を避けます。
      


@潅水
生物(動物、植物)の生存に必要な物質はまず、空気で、次に水、その次に栄養(肥料)です。
庭植えでは潅水は不要ですが鉢植えでは、水やり次第で株の生育が左右されます。基本的には、鉢土の表面がかわいてから、鉢底から水が流れるまで充分に与えます。鉢土が乾くと根に空気(酸素)が供給されるのです。
鉢土内に湿度が多いと根腐れや病気も出やすくなります。原種系のクリスマスローズはより排水性の良い用土を使って、多めの潅水をします。夏は夕方、冬は午前中に潅水します。

A置き場所

風通しの良いことが第一条件です。
鉢と鉢の間隔は葉が触れ合わないことが原則です。地面には直接置かず、棚(ベンチ)や台の上に置きます。
扇風機で絶えず空気の対流をさせるのも効果があります。夏の高温期に夜露にあてると株にスタミナがつきます。
遮光は5月からは50〜60%、梅雨明け後は70〜80%とし、11月以降は充分に陽光にあてます。

B肥料
活動の始まる9〜10月に持続性の緩効性肥料(マグアンプK、IB化成、発酵油粕)を元肥として充分に施します。
この時期は肥料を与えすぎる障害はほとんどありません。
春になって葉色が薄くなってきたら速効性の肥料(液肥)や前期の肥料を少し与えます。
7月〜8月の半休眠期には肥料分がない状態にします。特に小さな苗や原種系では5月以降肥料のやり過ぎに気をつけます。

C摘花、花茎切り
植物は花を咲かせ、充実した種子をみのらせて子孫を増やそうとします。したがって、植物は開花後すべてのエネルギーを種子に注ぎます。
逆に種子が実らなければ、親株は弱りません。
種子をとる必要がなければ、咲き終わった花は摘花しましょう。有茎種では開花した茎の根元から新しい芽が伸びてきてから古い花茎を切り取ります。

D古葉取り
無茎種のクリスマスローズは11〜12月にかけて夏働いた葉を切り取ります。
このときに緑の葉を切るのは抵抗感もありますが、風通しがよくなり、すっきりした状態で花を楽しめます。

E交配と採種
寒い時期に開花した花はミツバチなどがいないため、人が交配しないと結実しません。
結実した種子が成熟すると、サヤが割れて飛散するので、お茶パックをホチキスでとめておくと、完全に良い種子が得られます。
サヤが割れる前の未熟種子では、夏、種子が腐敗することがあります。採種した種子は農薬のベンレートでまぶしてから、乾燥させない状態(土中に埋める)で夏を越してから、秋に種子を蒔きます。

野田 卯一郎
2009年○月○日  第11回 ○○セミナー

栽培方法


基本的な栽培方法

地域別の栽培方法

原生地に学ぶ原種の育て方

自分流・栽培のコツ

病気と害虫

クリスマスローズの新たな試み